以前に「オーガニックコスメとは？」「ナチュラルとオーガニックはどう違うの？ オーガニック認証について」という記事を書きましたが、ずいぶん経っているので、日本のオーガニックコスメの認証は今どうなってるんだろう、と調べてみました。
検索すると、一般社団法人 日本ナチュラル・オーガニックコスメ協会（JNOCA / ジャノカ）というのが2020年に設立されている。
いわく「「化粧品」に関して、より生活者が安心して自らの意思で選ぶことができるように、独自の基準をクリアした製品を認証する機関」。なるほど。
「「JNOCAナチュラル」と「JNOCAオーガニック」という2つの認証基準がある。」フムフム。
びっくりしたのは、その次。
「「JNOCAオーガニック」では、化粧品の原材料成分のオーガニック率を重視し、「製品の5％以上に、オーガニック認証の原料を使用している」点を認証項目に含んでいます。」
え？ 5%？？？
ちなみに、「製品の5％以上に、オーガニック認証の原料を使用している」以外にクリアしないといけない基準が次の11個。
1. 製品の90％以上に、自然※原料を使用している。および、自然原料のみから構成された成分を使用している。
※「自然」とは石油系の成分以外を指す。具体的には、植物、粘土、鉱石類のように自然界の中で生まれ、循環することができ、自然のバランスを壊す懸念のない原料を指す。
2. （ミネラルオイルなどの鉱物油を含む）石油由来の成分を使用していない。
3. 石油系の合成界面活性剤を使用していない。
4. （カルボマーなどの）合成ポリマー、（シクロメチコン・ジメチコンなどの）シリコンオイルを使用していない。
5. BG（石油由来）、PG溶媒で抽出された植物エキスを使用していない。
6. 石油系合成着色料であるタール色素の原料を使用していない。
7. 合成香料を使用しない。
8. （パラベン、フェノキシエタノールなどの）合成防腐剤を使用していない。
9. 遺伝子組み換え操作を行った植物を使用していない。
10. 製造過程において動物実験を行っていない。
11. 海洋環境や生態系への悪影響が報告されている、紫外線吸収剤やマイクロプラスチックを使用していない。
まあ当たり前というか、このご時世、そういう基準が求められていますよね、という条件が並んでいて、それはいいことだと思います。
だけど、これらに加えて、「製品の５％以上に、オーガニック認証の原料を使用」してたら、JNOCAオーガニック認証を受けられるというのが引っかかる。
５％？
５％しかオーガニック原料を含んでいない製品をオーガニックと呼ぶの？
USDA（米国農務省） のオーガニック認証は３つのレベルがあって、一番厳しい「100パーセント オーガニック」は「水と塩を除く原料の100パーセントがオーガニック」であること。二番目の「オーガニック」は水と塩を除く原料の割合が95パーセント以上、三番目の「オーガニック原料含有」はその割合が70パーセント以上であること、ですよ。
フランスのエコサートは２種類の認証があって、厳しい方の「ナチュラル＆オーガニック化粧品」認証を受けるには「原料の95%以上が自然由来」で「植物原料の95％以上がオーガニック」であること、ですよ。
いやいや。違いすぎ。
５％しかオーガニック原料を含んでいない製品をオーガニックと認証するなんて、おかしくないですか？ そんな製品にオーガニック認証のシールをつけるに至っては、消費者に誤解を与えるのを承知で製品を売ろうとしているように見えます。もしこの条件で認定するなら「オーガニック原料含有」とか「オーガニック寄り」（笑）ぐらいが適当なのではないですか？
日本では何をもって「オーガニックコスメ」とするのか、はっきりした定義がないので、そこをついているわけですね。「うちが認証機関です」と先に名乗って「独自の基準」を決めちゃったもの勝ちと考えているのでしょうか。
USDAやエコサートのような厳しい基準を設けた認証機関を作ろうとしたら、コスメ業界から圧力がかかるのかもしれません。あるいは、そんな基準をクリアできる製品はほとんどないよって話なのかもしれません。
このJNOCAオーガニック認証なるもの、すでに普及しているようではなさそうですが、みなさま、くれぐれもお気をつけくださいませ。
ハニーガールオーガニクスの製品は、洗顔料などのいくつかを例外として、ほとんどの製品がUSDAのオーガニック認証を受けています。95%オーガニック認証です。正確には95%以上。残りの数パーセントがケミカルだということではなく、成分のそれぞれが95%以上オーガニックの認証を受けているから製品全体も95%以上オーガニックです。詳しくは95％オーガニックなら残りの5%は何？をご参照ください。